味覚の面での進化も著しい。従来の天日干し中心の製法から、湿度と温度をデジタル管理する最先端の低温風乾技術や、減圧熟成技術を導入する生産者が急増している。これにより、表面はパリッと香ばしく、身の内部は水分を極限まで保持した「ふわふわ」のジューシーな食感が実現した。
焼きの工程においても科学的なアプローチが進んでいる。遠赤外線効果の高い高品質な備長炭を使用し、表面のタンパク質を瞬時に固めて旨味成分を閉じ込める。職人は炭の配置や火床からの距離をミリ単位で調整し、部位ごとに最適な火入れを行う。この妥協のない職人技と科学的アプローチの融合が、かつての干物の概念を更新し続けている。