日常会話で使い分けられる「四十肩」と「五十肩」ですが、医学的な正式名称はいずれも肩関節周囲炎(Adhesive Capsulitis / Frozen Shoulder)であり、病態上の本質的な違いはありません。40代で発症すれば四十肩、50代で発症すれば五十肩と呼ばれるに過ぎず、加齢に伴う腱板の変性や肩峰下滑液包の炎症、関節包の癒着が主な原因です。
最も警戒すべきは、巷に溢れる「五十肩は1〜2年経てば自然治癒する」という言説です。臨床現場の追跡調査データによると、無治療のまま放置した場合、疼痛自体は時間とともに減弱するものの、患者の約42%に肩関節の外転・結帯動作の可動域制限(拘縮)が長期残存している実態が明らかになっています。固まった関節包は繊維化が進み、元の柔軟性を取り戻すまでに膨大なリハビリ期間を要することになります。
五十肩の経過は以下の3つのステージに分類され、現在のステージに合致したアプローチを選択することが完治への最短ルートとなります。
- 炎症期(急性期 / 2週間〜数ヶ月):安静時痛や夜間痛が激しく、少し動かすだけでも激痛が走る時期。
- 拘縮期(慢性期 / 4ヶ月〜12ヶ月):激しい自発痛は引くものの、肩関節が硬く固まり「腕が上がらない」状態が続く時期。
- 回復期(寛解期 / 6ヶ月〜):関節の柔軟性が徐々に回復し、積極的な動態リハビリが可能になる時期。