シリアスな怪演で頂点を極めた彼女が、2000年代に見せたもうひとつの頂がテレビ朝日系ドラマ『TRICK』シリーズだ。仲間由紀恵演じる売れないマジシャン・山田奈緒子の母、山田里見役として登場。長野の山奥で書道教室を開き、金にがめつく、怪しげな言葉の力で村人たちを心酔させる怪人物を演じきった。
「文字には不思議な力があります」という決め台詞とともに、独特の間とシュールなギャグを連発するその姿は、若い世代のファンを瞬く間に虜にした。主演の仲間由紀恵とのテンポの良い掛け合いは、まさに世代を超えた名コンビの誕生だった。どれほど突飛な設定であっても、彼女が画面の中心に座るだけで作品に説得力と上質な品格が宿る。稀代のコメディエンヌとしての才能が爆発した瞬間だった。