なぜ知識のある大人たちが、これほど容易に嘘を見抜けず巨額の金を差し出してしまったのか。犯罪心理学の専門家は、人間が持つ「返報性の原理」と「認知の歪み」を巧みに突いた構造を指摘する。
本事件の手口は、近年増加する国際的なロマンス詐欺とも深く類似している。最初は少額の頼み事から始め、徐々に罪悪感や情に訴えかける「フット・イン・ザ・ドア」技法を駆使。被害者は「これまで助けたのだから本当のはずだ」と自らを納得させ、援助を止められなくなる心理的泥沼にハマっていく。一度形成された精神的従属関係を第三者が解きほぐすのは極めて困難である。