過給機の歴史は、排気熱との戦い、そしてレスポンス向上への挑戦の歴史でもあります。過給機を搭載する上で切っても切れない必須装備がインタークーラー(中間冷却器)です。気体は圧力をかけて圧縮されると、熱力学の法則に従って必ず温度が上昇します。過給機から吐き出された空気は100〜150℃以上の超高温に達することも珍しくありません。
高温の空気は密度が低く、酸素含有量が減ってしまうだけでなく、シリンダー内の異常燃焼(ノッキング)を引き起こす最大の要因になります。そこでインタークーラーを通過させて外気や冷却水で冷やすことで、空気の密度をギュッと高めて充填効率を引き上げます。吸気温度が10℃下がるだけでもエンジン出力はおよそ3%改善すると言われており、過給エンジンにおいてインタークーラーは単なる冷却装置ではなく「出力を絞り出すための心臓部」として機能しています。
そして現在の自動車業界において最も熱い視線が注がれているのが、電動過給機(e-Turbo)や電動スーパーチャージャーの実用化です。F1のパワーユニットに採用されているMGU-H(熱エネルギー回生システム)の設計思想が市販車へフィードバックされ、48V電源システムをベースとした次世代過給機がハイパフォーマンスカーへ急速に浸透しています。
排気タービンとコンプレッサーの同軸上に超小型の超高速電気モーターを配置した電動ターボは、排気圧力が足りないアイドリング直後にはモーターの力で一瞬にしてコンプレッサーを回転させ、ターボラグを物理的に消滅させます。そして排気圧が十分になった高回転域では、余剰な排気エネルギーでモーターをジェネレーター(発電機)として回し、バッテリーへ電力を蓄えます。ベルト駆動による機械損失も、排気立ち上がり待ちのタイムラグも存在しない、スーパーチャージャーとターボの利点を完璧に融合した技術が成熟を迎えています。