ドラマの制作陣が主題歌のオファーへと動いた際、満場一致で白羽の矢が立ったのが中島みゆきだった。見知らぬ日本の地へ飛び込み、言葉や文化の壁にぶつかりながらも健気に夫を支えるヒロイン。その切なさと強靭な精神力を音楽で表現できる人物は、彼女をおいて他に考えられなかったという。
依頼を受けた中島自身は当初、「朝の連続テレビ小説の爽やかな空気感に、自分の重厚な声が馴染むだろうか」という一抹の不安を抱いていた。しかし、物語の根本にある「誰も足を踏み入れたことのない荒野を切り拓く人々の生き様」に深く共鳴。厳しい北の大地で冬の雪に耐え、春になればまっすぐに芽を伸ばす「麦」という象徴的なモチーフへ辿り着いた。かくして生まれた「麦の唄」は、ドラマの枠を飛び越え、壁にぶつかるすべての人々の背中を押す讃歌となったのだ。