1997年公開の『新世紀エヴァンゲリオン劇場版 Air/まごころを、君に』のラストシーンは、公開から長い年月が流れた今なお、アニメ考察における最大のテーマとして語り継がれています。サードインパクトが完遂され、全人類が単一の生命の海(L.C.L.)へと溶け合った後、最初に自我を取り戻して砂浜に横たわっていたのが碇シンジと惣流・アスカ・ラングレーの2人でした。
シンジは突如としてアスカの首を絞め始めますが、アスカは抵抗することなく、そっとシンジの頬を優しく撫でます。その温もりに涙を流して首を絞めるのをやめたシンジを見下ろし、アスカが言い放った最後の一言が「気持ち悪い」でした。
この衝撃的なセリフと行動の真意については、複数の視点から読み解くことができます:
- 他者性の肯定:他者と同化する世界を拒絶し、傷つけ合うリスクを背負って肉体を取り戻した2人が、初めて「自分とは異なる他者」として触れ合った瞬間。
- シンジの身勝手さへの拒絶と受容:精神的に依存し、自分を偶像化していたシンジの甘えを痛烈に拒絶しつつも、頬を撫でることでその存在自体は受け入れているという二面性。
- 制作現場のリアルな呼吸:庵野秀明監督がアスカ役の声優・宮村優子に「寝ている部屋に見知らぬ男が忍び込んでオナニーされていたら何て言う?」と問いかけ、宮村が咄嗟に返した「気持ち悪い」という言葉がそのまま採用されたという有名な制作秘話。