声優交代が発表された2016年当時、SNSや掲示板(5ちゃんねるや知恵袋など)では「野原ひろしの声に違和感がある」「森川さんの声がイケボ(イケメンボイス)すぎて、いつもの情けないとーちゃんに見えない」といった戸惑いの声が一部で投稿されました。24年間にわたって刷り込まれた藤原さんの独特な掠れ声と間合いは、視聴者の耳に深く刻み込まれていたため、初期の反響はある種不可避なものでした。
しかし、放送開始から1年、2年と経つにつれてネット上の空気は劇的に変化していきます。森川さんは単なる物真似(モノマネ)に終始するのではなく、「藤原啓治さんが築いた語尾のニュアンスや息遣いを徹底してリスペクトしつつ、自身の血肉として野原ひろしを再構築する」という極めて高度なアプローチを取りました。
特に転換点となったのは、劇場版での熱演です。『映画クレヨンしんちゃん 新婚旅行ハリケーン 〜失われたひろし〜』(2019年)や『映画クレヨンしんちゃん もののけニンジャ珍風伝』(2022年)など、ひろしが家族のために極限状態で叫び、愛を叫ぶシーンにおいて、森川さんの情感あふれる演技は多くの視聴者の涙を誘いました。現在(2026年)のSNSやレビューサイトを検証すると、「違和感は完全に消えた」「今の子供たちにとっては森川さんこそがひろし」「藤原さんの魂を感じる素晴らしい継承」といった肯定的な評価が支配的となっています。