冬場の給油所で最も頻繁に見かける光景であり、同時に現場の危険要因となっているのが「ガソリンスタンド静電気手袋したまま」の給油作業です。寒風が吹き荒ぶ季節、ドライバーが防寒用のウール手袋やニット軍手、革手袋をはめたまま、シートへ形だけタッチして給油を始めるケースが後を絶ちません。
はっきり言えば、一般的な手袋をしたまま除去シートに触れても、人体に溜まった静電気はまったく逃げません。手袋の主原料であるウール、アクリル、ポリエステル、あるいは乾燥した天然皮革は、電気を通さない極めて強力な「絶縁体」です。指先と導電シートの間に絶縁物が挟まっている以上、電気がアースへ流れる経路は完全に遮断されています。
「自分はスマートフォン対応の導電性手袋をしているから大丈夫だ」と過信するのも早計です。スマホ操作用の手袋は、画面が静電容量の変化を感知できる程度の微弱な電気を通す設計に過ぎず、人体に蓄積された数千ボルトの高電圧電荷を安全・確実にアースへ逃がすための抵抗値制御やアース接地は考慮されていません。静電気対策グッズや作業用帯電防止手袋(JIS T 8103適合品など)であれば一定の効果を発揮しますが、市販のファッション手袋では何の保護にもならないのが実態です。
さらに「冬場セルフ給油静電気リスク」を高める要因が、現代の防寒着の組み合わせです。フリース(ポリエステル)の上にダウンジャケット(ナイロン)を重ね着している場合、車から降りる際の身のこなしだけで1万ボルト以上の静電気が発生します。その状態で手袋をしたままシートを形骸的に触り、金属の給油ノズルを握った瞬間、手袋の縫い目や薄い生地の隙間を通じてノズルへ一気にスパークが飛ぶ危険性があるのです。給油作業時は、「必ず手袋を外し、素手で確実にシートに触れる」こと。これ以外の妥協策は存在しません。