作詞を手掛けた大森祥子氏、作曲を担当した池毅氏の手腕が光る『おジャ魔女カーニバル!!』の歌詞は、子どもの純粋な欲望と奔放なイマジネーションを巧みに言語化しています。「宿題なんかぜんぶゴミ箱ポイッ」「パパとママのお説教もどこ吹く風」といったフレーズに並び、「苦手だったテストだって100点だ」という一節は、魔法さえ使えればどんな不都合な現実も一瞬でひっくり返せるという全能感の象徴として描かれています。
サビ前でひときわ強い印象を残す「ピリカピリララ のびやかに」という呪文にも、綿密な言語感覚が反映されています。作中において主人公・春風どれみが唱える呪文「ピリカピリララ ポポリナペペルト」から引用されたこのフレーズは、アイヌ語で「美しい」「豊かな」を意味する「ピリカ(pirka)」という言葉の響きや、破裂音の心地よさを計算して生み出されたものです。制作関係者の回想録によると、子どもが口ずさんだ瞬間に口角が自然と上がり、明るい気分になれる音の並びが徹底的に追求された経緯が明かされています。
大人の論理や教育的な正論をあえて度外視し、子どもの「こうだったらいいのに」という本音をストレートに肯定する言葉選びこそが、発表から四半世紀が経過した今も聴き手の心を掴んで離さない根源的な理由と言えます。