外見上の違いを生み出している根底には、神道と仏教の決定的な違いがあります。この二つは、単に流派が異なるのではなく、起源も教義も別個の宗教体系です。
神道は、日本列島の風土で自然発生した民族信仰です。山、海、風、雷といった自然の森羅万象や、特定の地域を拓いた祖霊に畏怖の念を抱き、「八百万(やおよろず)の神」として敬ってきました。明確な開祖や固定された教典を持たず、「清く明るく直き(なおき)心」で自然との調和を保ち、現世を力強く生きる活力を得ることが信仰の中心に置かれます。
一方の仏教は、紀元前5世紀頃の古代インドで実在の人物・釈迦(ゴータマ・シッダールタ)によって開かれた世界宗教です。6世紀半ばに百済から日本へ公伝しました。仏教の根底にあるのは「一切皆苦(この世のすべては苦しみである)」という認識であり、煩悩を断ち切って悟りを開き、輪廻転生(りんねてんしょう)の苦しみから解脱することを目標とします。そのため、信仰対象は自然神ではなく、悟りを得た覚者である如来や、救済のために修行を続ける菩薩などの「仏様」です。
文化庁が発行する『宗教年鑑』の直近データによれば、国内の宗教法人数は神社が約8万社、寺院が約7万6千カ寺と拮抗しています。日本人は千数百年にわたり、この全く異なる2つの体系を並立させて共存させてきました。