鮮魚ともつの双方がハイレベルである背景には、武蔵小杉という地理的条件がもたらす流通上の決定的なアドバンテージが存在します。東京都中央卸売市場食肉市場(芝浦)からのチルド配送圏内に位置しながら、川崎市地方卸売市場南部市場や三浦半島・三崎港、さらには豊洲市場からの魚介輸送ルートの合流点に位置している点です。
武蔵小杉の老舗酒場で厨房を預かる料理長は、独自の仕入れ体制について次のように明かします。
「うちでは毎朝、三崎と豊洲から届く鮮魚を職人が目利きして捌く一方で、もつに関しては芝浦から当日朝に引いた豚小腸や牛シマチョウしか使いません。もつ焼きや煮込みで重要なのは何よりも鮮度と丁寧な下処理。臭みを完全に抜く下茹での温度管理と、魚の繊細な風味を損なわない厨房の衛生管理を徹底することで、刺身の盛り合わせの隣に熱々のもつ煮込みが並んでも一切の違和感がない食卓が完成します」
この徹底した仕込みにより、武蔵小杉もつ焼きと鮮魚の評判はSNS上でも年々高まりを見せています。臭みが一切なく甘みを感じる特製もつ焼きと、角がピンと立った本マグロや真鯛の刺身が同じテーブルに並ぶ光景は、まさにこの街の酒場カルチャーを象徴する独自の強みといえます。