名門・松竹の伝統を背負う歌舞伎の世界に身を置きながら、映画やドラマなど現代劇のフィールドでも圧倒的な異彩を放ってきた中村獅童。古典芸能で培われた立ち振る舞いと、現代的な泥臭さや情熱を融合させる稀有な表現力は、本作における不器用ながらも深い愛を持つ父親役で結実した。
歌舞伎の舞台で鍛え上げられた感情の発出と静寂の対比は、スクリーンの大画面において強い存在感を放ち、従来の映画俳優とは一線を画す奥行きを与えた。ジャンルの垣根を軽々と飛び越えるそのアグレッシブな姿勢は、日本の演技界に大きな刺激を与え続けている。