日本国内で流通している人参は、大きく分けて「東洋系」と「西洋系」の2つの系統が存在します。現在、全国の青果売場で日常的に並んでいるオレンジ色の人参は「五寸人参」に代表される西洋系人参です。これに対し、金時人参は16世紀頃に中国から伝来した東洋系人参の直系であり、日本で現存する数少ない貴重な東洋種となっています。
両者の最大の違いは、その鮮烈な赤色を生み出す色素成分にあります。一般的な西洋人参のオレンジ色は「β-カロテン」が主体ですが、金時人参の深紅はトマトやすいかと同じ強力な抗酸化物質「リコピン」が豊富に含まれていることによるものです。β-カロテンもバランスよく含みつつ、リコピンが凝縮されているため、加熱調理を行っても色あせることなく、料理に華やかな彩りを与え続けます。
食味においても明確な差が存在します。金時人参は糖度が一般的な人参より1〜2度ほど高く、果肉の繊維が非常に細かいため、口当たりが滑らかで柔らかいのが特徴です。人参特有の土臭さや青臭さの元となる「テルペン類」という香り成分が極めて少ないため、人参嫌いの子どもでも食べやすい素直な甘みを持っています。カロリー面は100gあたり約39kcalと一般的な人参(約35kcal)とほぼ同等ながら、凝縮された自然な甘みと旨味をダイレクトに感じられます。