「西願寺」を訪れる際、最初に理解しておくべき重要な事実があります。それは、全国各地に点在する西願寺が単一の寺院グループではなく、主に浄土宗(法然上人を開祖とする宗派)と浄土真宗(親鸞聖人を開祖とする宗派)の異なる系統に分かれているという点です。
寺号の「西願」は、阿弥陀如来が一切の衆生を救うために立てた根本の誓願「西方極楽浄土への往生を誓う願(四十八願)」に深く由来しています。そのため、浄土信仰が急速に庶民へ浸透した鎌倉時代から室町時代、そして江戸初期にかけて、念仏の道場として各地にこの名を持つ寺院が建立されました。
寺院ごとに祀られる本尊は阿弥陀如来(立像または坐像)が中心ですが、浄土宗系では木彫の阿弥陀三尊像や法然上人像が重視される一方、浄土真宗系では「南無阿弥陀仏」の名号本尊や親鸞聖人の絵像が掲げられるなど、堂内の荘厳や儀礼作法に明確な教理の違いが表れています。