ひな祭りの歌に隠された怖い意味とは?作詞者の悔恨と4番の謎を解明

ひな祭りの歌に隠された怖い意味とは?作詞者の悔恨と4番の謎を解明

ひな祭りの歌に隠された怖い意味とは?作詞者の悔恨と4番の謎を解明の重要なポイントについて、分かりやすい解説を詳しくお届けします。

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怪談めいた都市伝説よりもはるかに深刻で、歴史的事実として証明されているのが、作詞者サトウハチローが犯した重大な歌詞の誤謬(ごびゅう)です。この歌の普及によって、日本人の雛祭りに関する常識そのものが歪められてしまったことは、有職故実の研究者や人形業界の間では周知の事実とされています。

決定的な誤りは主に以下の2点に集約されます。

第一に、「お内裏様(だいりさま)と お雛様(ひなさま)」という対比です。本来の歴史的定義において、「内裏(だいり)」とは天皇の私的御所を意味し、雛人形における「内裏雛(だいりびな)」とは男雛(おびな)と女雛(めびな)の「一対(ペア)」を指す言葉です。つまり、男雛のことも女雛のことも含めて「お内裏様」と呼ぶのが正しい作法でした。サトウハチローが男雛を「お内裏様」、女雛を「お雛様」と切り離して対立構造にしてしまったため、昭和から令和に至る日本社会の過半数にこの誤用が定着してしまいました。

第二に、「赤いお顔の 右大臣」という記述です。宮中の官位制度において、左大臣と右大臣では左大臣の方が上位であり、雛壇に向かって右側(人形自身から見て左側)に座る左大臣こそが、白髭を蓄えた高齢の高官であり、盃を重ねて顔を赤らめた姿で作られるのが一般的です。一方で右大臣は血気盛んな若者の姿で作られます。サトウハチローは「酒を飲んで陽気に顔を赤らめる人物」として右大臣と左大臣の役割を取り違えて作詞してしまいました。

サトウハチロー自身、後年のテレビ番組出演や知人に向けた手記において、「あの歌は自分の無知から生まれた恥ずかしい間違い」「著作権料を見るのも嫌になるほど忌々しい」と何度も痛嘆を述べています。名作童謡の巨匠として数々の名詞を世に送り出した彼にとって、日本中に誤った知識を定着させてしまった「うれしいひなまつり」は、誇らしいヒット曲ではなく、死ぬまで拭い去れない痛恨のミスだったのです。

林 結菜
著者

林 結菜

エンタメ・カルチャー業界の深掘り取材を得意とし、現場のリアルな声をお伝えします。