現代の猫アートシーンを語る上で欠かせないのが、SNSから世界的人気を博した「ぢゅの」と、幻想的かつ緻密な筆致でファンを魅了し続ける「ヒグチユウコ」の存在だ。両者の作風は対照的でありながら、どちらも猫という生き物に対する深い解像度を持っている。
ぢゅのが描く「mofusand」の猫たちは、モフモフとした質感と愛嬌のあるポーズ、そしてシュールな被り物の組み合わせが絶妙な脱力感を生む。難しいデッサン理論を感じさせず、ひと目で「可愛い」と直感を刺激する構図は、シンプルに猫を描きたいクリエイターにとって最高のお手本だ。
対するヒグチユウコの世界は、クラシカルな銅版画を思わせる線画と擬人化された猫たちのどこかミステリアスな佇まいが特徴的だ。瞳の奥にある野生の光や、細密に描かれた毛並みの一本一本が鑑賞者の感情を揺さぶる。手軽なデフォルメから重厚な絵画表現まで、猫というモチーフがいかに多様な表現を受け止める広がりを持っているかを、彼女たちの作品は雄弁に物語っている。