ネット上の口コミやSNSを見ていると、「スパイスが辛すぎて途中で飽きる」「油っこくて胃もたれした」というネガティブな感想が散見されます。しかし、現場の取材から見えてきたのは、「骨付鳥の真の食べ方を知らないまま単品で挑んでしまったことによる誤解」です。
骨付鳥は、肉単体を食べて完結する料理ではありません。銀皿の底にたまっている液体は、肉から落ちた単なる不要な脂ではなく、オーブンの中でニンニクやスパイス、肉汁のエキスが溶け合って極限まで濃縮された「黄金の特製チキンオイル」です。この脂をどう味わうかこそが、骨付鳥の神髄なのです。
地元民が骨付鳥と同時に必ずオーダーするのが、「おにぎり(むすび)」と付け合わせの「生キャベツ」です。皿に添えられた生のキャベツをバリバリとちぎり、銀皿のオイルにたっぷりと浸して口に運ぶと、キャベツの甘みと食物繊維が油の重さを中和し、信じられないほどの爽快感を生み出します。そしてクライマックスは、三角形の白いおにぎりを銀皿の底に押し込み、スパイスオイルを米粒の芯まで吸わせて食べる瞬間です。この禁断の炭水化物と脂質の融合こそが、香川県民を骨抜きにしてきた背徳の美味であり、これを体験せずに「油っこい」と切り捨てるのは明白な機会損失と言わざるを得ません。