アニメ関係者や舞台演出家が口を揃えて称賛するのが、入野自由の「台本を解釈する深度」と「ナチュラルな発声技術」です。典型的なアニメ的デフォルメに頼らず、息遣いや沈黙の間に本物の感情を宿らせる手法は、観客の心を鷲掴みにします。
SNSやアニメレビューサイトにおいて特に言及が多いのが、京都アニメーション制作の『映画 聲の形』における石田将也役の演技です。過去の過ちから周囲と目を合わせられず、耳を塞いで生きてきた青年の「声の震え」や「自信のなさ」を、息の漏れ方一つで生々しく具現化しました。山田尚子監督もインタビュー等で入野の直感力と芝居のリアルさを絶賛しており、アニメーション表現に映画的な実在感をもたらした立役者として認知されています。
一方で、『おそ松さん』のトド松役で見せたのは、真逆の「完璧なコメディの間」です。一見可愛らしい末っ子でありながら、兄弟を内心で見下すドライな毒舌、そして通称「トッティ顔」と呼ばれる崩壊シーンでの凄まじいスクリームは、入野の芝居のレンジが底なしであることを知らしめました。シリアスとギャグ、そのどちらにも振り切れる柔軟性が、世代を超えた支持を強固にしています。