温泉ファンの間でも混同されがちなのが「ラジウム温泉」と「ラドン温泉」の定義上の差異です。両者の違いを化学的・物理学的に整理すると、その本質が明確になります。
ラジウム(Ra)は固体金属元素であり、ウランが崩壊する過程で生じます。このラジウムがさらにアルファ崩壊を起こして気体となったものが「ラドン(Rn)」です。温泉水中に直接溶け込んでいる気体成分を重視して呼称する場合が「ラドン温泉」、母体となるラジウム鉱石の含有塩類を強調する場合が「ラジウム温泉」となります。
山梨を代表する二大巨頭で比較すると、その個性の違いが浮き彫りになります。
北杜市に位置する増富ラドン温泉 効能の強みは、花崗岩由来の極めて高いラジウム・ラドン含有量と、豊富な遊離炭酸(炭酸ガス)の複合作用です。増富は源泉温度が約20℃〜30℃前後の冷鉱泉であり、熱による発汗消耗を抑えつつ、長時間じっくり浸かることで血管拡張と成分吸収を同時に促します。
一方、甲斐市の竜王ラドン温泉 湯ーとぴあは、地下1,000メートル以上から湧出する天然温泉に特許取得の安全な濃度管理システムを組み合わせ、密閉された吸入室(ラドンサウナ様空間)で気体ラドンを集中的に吸引できる環境を構築しています。「気体吸入特化型」の竜王と、「低温長湯複合型」の増富という、明確なアプローチの棲み分けが存在しています。