遠野さんが芸能界に入った背景には、母親の強い意向、いわゆるステージママとしての支配がありました。10代で子役として頭角を現し、1999年のNHK連続テレビ小説『すずらん』のヒロインに抜擢されるなど脚光を浴びる一方、家庭内での母親の要求はエスカレートしていきました。
母親は彼女を「稼ぎ頭」として扱い、ギャラを厳格に管理するだけでなく、画面映りを気にして過激なダイエットを強要。「太ったら仕事がなくなる」「吐いてでも痩せろ」という母親の歪んだプレッシャーが引き金となり、遠野さんは10代半ばで摂食障害(拒食症・過食嘔吐)を発症しました。この病魔との闘いは、現在に至るまで30年以上に及んでいます。
2013年に出版された衝撃的な自伝本『一度だけでも抱きしめて欲しかった』(徳間書店)では、母から愛されたい一心で従い続けた幼少期の苦しみと、壊れていく心の内情が生々しく告白されています。どれほど理不尽な暴力を受けても、「一度だけでも母に抱きしめて欲しかった」という切実な願いを抱き続けていた娘の葛藤は、日本社会における毒親問題の深刻さを浮き彫りにし、大反響を呼びました。