湘北のメンバーだけでなく、立ち塞がるライバルたちの緻密な人間描写もまた、作品の生命線だ。王者・山王工業のエース沢北栄治。高校バスケ界の頂点に君臨しながらも、どこか子供っぽさを残し、日本にはもはやライバルがいないという孤独を抱えていた。
敗北を知らない男が、湘北との激闘の末に初めて味わった悔し涙。神社で「必要な経験をください」と祈った彼に与えられたのが「敗北」だったという劇的な描写は、単なる勧善懲悪を超えた人生の深みを提示している。ライバルすら一人の愛すべき人間として描く視点が、作品の奥行きを決定づけている。