ネット上の言説や一部のライト層の間では、「大谷は内角の速球に差し込まれやすくなっている」「相手バッテリーの研究が進んで弱点が露呈したのではないか」といった懐疑的な見方が散見されることがあります。しかし、トラッキングデータと現場取材のファクトを突き合わせると、この推測は明らかな誤解であることが分かります。
実際には、相手バッテリーが大谷に対して投じる配球の68%以上がストライクゾーンを外れるボール球であり、特に「インハイのタイトな直球で見せ球を作り、アウトローへ逃げるスイーパーで仕留める」という極端な配球が定着しています。つまり、勝負を避けられていることによるフラストレーションが蓄積しやすい環境にあるだけであり、打撃技術そのものが低下しているわけではありません。
大谷が今季取り組んでいる打撃アプローチの真髄は、無駄な力みを徹底的に排除した「始動の早期化」にあります。トップの位置をわずかにコンパクトに保つことで、極端なインコース攻めに対しても最短距離でバットを出すアジャストメントを行っています。表面的な三振数だけに目を奪われると本質を見誤りますが、打球の質とゾーン管理能力を見る限り、大谷は過去最高峰の打撃精度を保ち続けています。