こうしくんを語るうえで最大の謎とされるのが、常に両手で抱えている「ひまわりのタネ」です。食いしん坊という設定でありながら、なぜその場で食べてしまわずに大事に持ち歩くのでしょうか。
アニメ公式の基本設定では、「いつでも食べられるように持ち歩いているが、食べるのがもったいなくて大切にしている宝物」とされています。アニメ第1話でハム太郎と初めて出会った際にも、このタネをきっかけに親交を深めました。タネをうっかり落としたり転がしてしまったりするとパニックに陥り、「僕のタネが〜!」と全力で追いかける展開は初期の定番ギャグであり、物語を動かす重要なキーアイテムでした。
児童心理学や精神分析の観点からこの行動を紐解くと、小児精神分析医ドナルド・ウィニコットが提唱した「移行対象(Transitional Object)」、通称「安心毛布(ブランケット症候群)」と完全に符合します。おっとりで臆病なこうしくんにとって、肌身離さず触れられる特定のタネは、外の世界の不安から身を守り、情緒的な安定を保つための心理的アンカー(拠り所)として機能していたのです。