公式のセリフではないにもかかわらず、なぜ「いい加減にしろ」という言葉がこれほどまでに違和感なく受け入れられたのでしょうか。その背景には、作品構造が内包する「ばいきんまん側の圧倒的な理不尽さ」に対する視聴者のメタ的な共感があります。
ばいきんまんは、パン工場のような潤沢な補給拠点を持たず、バイキン城の地下研究所で「だだんだん」「もぐりん」といった高性能ロボットをすべて独力で設計・開発・製造しています。対するアンパンマンは、戦闘で頭部が欠損したり汚れたりしても、ジャムおじさんとバタコさんの連携による「新しい顔」の投擲によって瞬時にエネルギーが100%回復し、「元気百倍」の状態で反撃に転じます。
どれほど緻密な罠を張り、メカの出力を極限まで高めてアンパンマンを追い詰めても、外部からのパン供給ひとつで戦況が不可逆的に覆され、最後は「アンパンチ」一撃で吹き飛ばされる――。この終わりのない徒労感と構造的格差こそが、ネットユーザーをして「そりゃ『いいかげんにしろ』と叫びたくもなる」と納得させた最大の要因です。