秋晴れの静寂を破る大歓声と、直後に訪れるため息――。伊藤園レディスゴルフトーナメントの勝敗を語る上で欠かせないのが、会場となるグレートアイランド倶楽部の卓越したコース設計です。なかでも最終日ハイライト速報を賑わせる最大の要因は、16番(パー4)、17番(パー3)、18番(パー4)の通称「上がり3ホール」に集約されます。
現場取材班が捉えた勝敗を分けた理由の筆頭は、18番ホールの池に絡むピンポジションと、秋特有の冷たく重いアゲインスト(向かい風)の罠です。左サイド全体に広がる巨大な池と、左傾斜の砲台グリーン。過去大会でも、最終組の選手がわずか数ヤードのキャリー計算を誤り、池へと吸い込まれる痛恨のボギーやダブルボギーでタイトルを逃す光景が幾度となく繰り返されてきました。JLPGA関係者が「この18番は、スコアを守りに入った瞬間、獲物を仕留めるように牙を剥く」と漏らす通り、安全圏など存在しないレイアウトが劇的な逆転劇を誘発します。
さらに見逃せないのが、コース難易度と評判を決定づける高速ベントグリーンです。晩秋のコンディションに仕上がったスティンプメーター11〜12フィート超の高速グリーンは、下りのラインに乗るとボールが止まらず、アプローチの繊細なタッチを容赦なく狂わせます。優勝争いの重圧がピークに達するサンデーアフタヌーン、選手の心拍数は140を超え、手の平の微細な硬直がカップをわずかに外れるパットとなって現れるのです。