被害に遭った55億円の回収可能性について、結論から言えば「全額回収は事実上極めて困難であり、現実的に回収できたのはごく一部にとどまる」というのが法的・実務的な見解である。詐欺グループが得た巨額の資金は、犯行発覚とほぼ同時に複数の海外口座、カジノ、暗号資産、さらには貴金属へと瞬時に洗浄・隠蔽されたからだ。
被害回復のための法的手続きとしては、刑事上の被害回復給付金支給制度や、詐欺グループ幹部および関係法人に対する民事上の損害賠償請求訴訟、さらには差し押さえ手続きが講じられた。警視庁捜査二課などの捜査機関が一部の国内口座を凍結し、逃亡先から送還されたカミンスカス操被告らの個人資産や関係先から資金の差し押さえを試みたものの、主要な資金は複雑なマネーロンダリングの網の目へと消えていた。
積水ハウス側は会計上、被害額のほぼ全額を特別損失として早期に処理しており、決算上の手続きは完了している。法務専門家によれば、このような大規模な地面師詐欺における回収スキームは、主犯格の隠し資産の捜索と、取引に関与した第三者(仲介業者や司法書士など)への賠償責任追及に絞られる。しかし、民事上の損害賠償請求で勝訴したとしても、被告側に相応の資力がなければ実際の金銭回収には結びつかないという厳しい壁が存在する。