この楽曲が決定的な国民的アンセムとなった最大の転機、それは1989年に公開されたスタジオジブリのアニメ映画『魔女の宅急便』との出会いである。監督を務めた宮崎駿は、故郷を離れて一人立ちする13歳の少女キキの旅立ちのシーンに、この楽曲を起用した。赤いラジオから流れる軽快な旋律は、不安と希望が入り交じるキキの心情を完璧に表現してみせたのだ。
実は制作初期、オープニングテーマには別のオリジナル楽曲が検討されていたという。しかし、劇中の時代設定や少女の等身大の情景にしっくりと馴染んだのは、14年前にリリースされていたこのレトロ・ポップスだった。既存の歌謡曲をアニメーションの重要なオープニングに据えるという手法は、当時の映画界でも斬新な試みだった。宮崎駿監督が見抜いた音楽の普遍性が、作品に時代を超越する魔法をかけた瞬間と言える。