メロフォンとは、主にマーチングバンドやドラム・アンド・ビューグル・コー(ドラムコー)で使用される、中音域を担当するフロントベル(前向きベル)仕様の金管楽器です。管の調子は現在、F管(in F)が世界のデファクトスタンダードとなっています。
「ホルンと似ている」と言われる最大の理由は、担当する音域がフレンチホルンとほぼ重なり、吹奏楽編成のマーチングにおいてホルンパートの代替楽器として配置される歴史的背景にあります。しかし、構造と音響設計の観点から見ると、両者には以下のような決定的な違いが存在します。
第一に、音の指向性とベルの向きです。座奏用のフレンチホルンはベルが後方・斜め下を向き、右手をベル内に入れて音色をコントロールしながら間接音を響かせる設計になっています。これに対し、広いフィールドを動き回るマーチングでは、後方に音が抜けるホルンでは観客席や審査員席にアタックが届きません。メロフォンはトランペット同様、ベルが完全に前方を向いており、鋭く明瞭な直接音をストレートに届けることができます。
第二に、操作機構と構え方の違いです。フレンチホルンは左手でロータリーバルブを操作し、右手はベルの中に挿入します。一方のマーチングメロフォンは、右手で3つのピストンバルブを操作し、左手は楽器本体を支えるグリップに充てられます。管長自体もフレンチホルン(約3.7mのフルダブル構造)に比べて短く設計されているため、倍音の間隔が広く、高音域での音の引っ掛かり(ツボ)を捉えやすい点も大きな特徴です。