「いま広島で働いている自分の時給は適法なのか」「次の改定はいつから適用されるのか」。検索窓に不安を打ち込む働き手が後を絶ちません。結論から言えば、地域別最低賃金広島の改定は、例年広島地方最低賃金審議会による夏の答申を経て、広島労働局公式発表および官報公示が行われ、毎年10月上旬から中旬に効力が発生するタイムラインが確立されています。
広島県の最低賃金は、2024年10月に悲願であった「1,000円の大台」を突破(1,020円へ改定)して以降、2025年、2026年とハイペースな増額基調を維持しています。政府が掲げる「2020年代に全国加重平均1,500円」という数値目標に向け、中国地方の牽引役である広島県は目安額のランク(現在はA〜Cの3区分中、広島はBランクに位置づけ)においても強気の改定ピッチが課されてきました。
しかし、額面時給の上昇がそのまま生活の豊かさに直結していない実態が、現場の取材から浮き彫りになっています。スーパーのレジ打ち業務に就く40代女性パートタイマーは、次のように複雑な胸の内を語ります。
「時給が上がった案内を受け取ったときは素直に嬉しかったんです。でも、月収が106万円や130万円の枠に近づくスピードが早まっただけで、秋口には『これ以上シフトに入らないで』と店長から言われました。結果として月の手取り額は以前と変わらないか、下手をすれば社会保険料が引かれて減ってしまう逆転現象に悩まされています」
額面の引き上げが引き金となり、制度の狭間で労働時間の短縮を強いられる「就労調整」のジレンマ。これが、パート・アルバイトへの影響としていま現場で最も深刻視されている真相です。