2人の出会いは、2017年5月の舞台『午前5時47分の時計台』での共演でした。当時19歳だった飯村貴子さんと、43歳で再々婚を目指していたいしだ壱成さんの交際は「24歳差の年の差カップル」としてメディアの格好の標的となりました。2018年4月に婚姻届を提出し、同年9月には長女が誕生。しかし、幸福な新婚生活は長くは続きませんでした。
夫婦関係が決定的な破綻へと向かった最大の要因は、「深刻な経済的困窮」と「療養生活による生活バランスの崩壊」でした。いしだ壱成さんがうつ病の再発により芸能活動の休止を余儀なくされ、一家は生活コストを抑えるためにいしださんの実母が暮らす石川県白山市へと移住しました。しかし、地方移住によって状況が好転することはありませんでした。
当時の報道やいしださん本人の手記、テレビ番組での証言によると、石川県での生活は想像を絶するものでした。一家の収入は激減し、一時は「食費は月3万円程度」「光熱費やアパートの家賃の支払いにすら窮する」という極限状態に陥りました。愛車の軽自動車を維持するのもやっとの状態で、暖房費を節約するために真冬の北陸で寒さに耐え忍ぶ日々が続いたと伝えられています。
無収入状態が続く夫に代わり、家計を支えるために立ち上がったのが当時20代前半の飯村貴子さんでした。彼女は深夜のラーメン店やスーパーのレジ打ちなどで必死にアルバイトを掛け持ちし、月十数万円の手取りを稼ぎ出していました。深夜まで立ち仕事をして帰宅し、幼い娘の世話と夫の精神的なケアを一人で担う生活は、肉体的にも精神的にも限界を超えていました。「もうこれ以上は一緒に暮らせない」――彼女が下した離婚の決断は、母として子供の命と生活を守るための、ぎりぎりの防衛策だったといえます。