本作のバックボーンを理解する上で欠かせないのが、前作『喧嘩商売』から『喧嘩稼業』へのタイトル変更と構造の進化です。この2作には明確なテーマと舞台設定の違いが存在します。
前作『喧嘩商売』は、主人公・佐藤十兵衛が高校生としてストリートファイトや裏社会の猛者たちとルール無用の死闘を繰り広げ、古流武術「富田流」の使い手として成長していく過程を描いたピカレスク・アクションでした。目潰し、金的、凶器使用、事前工作など、勝つためなら手段を選ばないリアリズムが読者に衝撃を与えました。
一方、改題された『喧嘩稼業』では、舞台が世界最強の格闘家16名を集めた「陰陽トーナメント」へと移行します。ルールが存在するリングの上でありながら、反則スレスレの策略、相手の心理的トラウマを突く舌戦、そして「煉獄」をはじめとする必殺の技術体系が激突する、究極の頭脳派格闘トーナメントへと進化を遂げました。