彫刻の魅力は、美術館の展示室という閉じた白い箱(ホワイトキューブ)の中だけに留まりません。自然の光や風、季節の移ろいと共鳴する野外展示こそ、彫刻が本来持つ三次元のエネルギーを最も体感できる空間です。
日本国内におけるその代表格が、神奈川県箱根町にある国内初の野外美術館です。箱根 彫刻の森美術館の見どころは、約7万平方メートルの広大な緑豊かな庭園に点在する、近現代の巨匠たちによる名作群にあります。ヘンリー・ムーアの量感あふれる有機的フォルムのブロンズ像は、箱根の雄大な山並みを背景にすることで、大地から生え出たかのような雄弁な存在感を放ちます。
また、現代アートの彫刻を手掛ける有名作家たちの作品も見逃せません。アルベルト・ジャコメッティの極限まで削ぎ落とされた針金のように細い人間像は、人間の実存の孤独と空間の広がりを鋭く問いかけます。さらに、ニキ・ド・サンファルの色彩豊かな生命力に満ちた大型彫刻や、ガブリエル・ロワールによる全面ステンドグラスの塔『幸せを呼ぶシンフォニー彫刻』のように、鑑賞者が作品の内部に入り込み、光と色彩のシャワーを全身で浴びる体験型の立体造形も、現代彫刻の重要な到達点です。