なぜ伊藤園へ売却?タリーズコーヒー創業者の壮絶な経歴と松田公太の現在

なぜ伊藤園へ売却?タリーズコーヒー創業者の壮絶な経歴と松田公太の現在

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タリーズのルーツを語る上で欠かせないのが、アメリカ本国の創業者であるトム・オキーフ(Tom T. O'Keefe)氏との劇的な交渉です。1992年にシアトルで誕生した「Tully's Coffee」は、スターバックスのライバルとして地元で急成長していた実力派チェーンでした。

実績ゼロ、飲食業の経験もゼロの元銀行員が、世界的ブランドの日本展開ライセンスを獲得するなど、常識ではあり得ない挑戦でした。松田氏はアポイントもそこそこにシアトルへ飛び、オキーフ氏のオフィスへ直談判に乗り込みます。当時のオキーフ氏は、日本の大手総合商社や老舗外食企業からも巨額の提携オファーを受けている最中でした。

並み居る巨大企業を前に、松田氏が武器にしたのは「圧倒的な熱量」と「現場への徹底的なコミットメント」でした。オキーフ氏に宛てた分厚い事業計画書には、単なる市場予測ではなく、「自分自身がエプロンを着てカウンターに立ち、一杯ずつ魂を込めて淹れる」という覚悟が泥臭く綴られていました。オキーフ氏は後年のインタビューで、「大企業のサラリーマン役員にはない、事業に命を懸ける青年の澄んだ瞳を信じた」と回顧しています。こうして1997年1月、松田氏は奇跡的に日本における独占営業権を獲得したのです。

鈴木 陽菜
著者

鈴木 陽菜

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