当時のフロアに足を運んでいた常連客や、現場で働いていたスタッフの声を集積すると、レッドドラゴンが持っていた独特の魔力が浮き彫りになります。
元常連の40代男性(IT企業役員)は次のように述懐します。
「今の六本木のクラブはどこも洗練されていて安全ですが、当時のレッドドラゴンには映画のワンシーンに入り込んだような危険な色気が漂っていました。エントランスの重い扉を開けると、オリエンタルなお香の香りと強烈なベース音が押し寄せてきて、日常のルールが通用しない別世界に来た実感を味わえたのです」
一方で、当時のネット掲示板や現在のSNS回顧録では、「料金体系が不透明だった」「トラブルに巻き込まれそうになった」といったネガティブな体験談も一部で見られます。これらは、現在のコンプライアンス重視のナイトクラブ運営とは異なり、個々のオーガナイザーやプロモーターの裁量に委ねられていた時代のリアルな証拠といえます。光と影が混ざり合っていたからこそ、体験した人々の記憶に消えない爪痕を残しました。