メリットのCM楽曲が持つ空気感は、画面に登場するタレント陣と深く連動しています。メリットCM出演者一覧の足跡をたどると、日本社会における世帯のあり方の遷移がそのまま浮かび上がってきます。
2000年代初頭、主婦層の圧倒的支持を集めた江角マキコが母親役を務めていた時代は、アクティブで力強い「働くお母さんと元気な子どもたち」が主題でした。その背景で流れていたのは、温もりの中に芯の強さを感じさせるナチュラルポップスでした。母親一人に過度な家事負担を背負わせるのではなく、笑顔で毎日を乗り切る前向きな女性像がそこにはありました。
その後、2010年代後半には大泉洋や麻生久美子、そして高橋一生や田中麗奈といった実力派俳優陣が登板。「夫婦で協力して子育てを楽しむ」「お父さんが子どもをお風呂に入れて楽しそうに髪を洗う」という、育児の共同参画が自然な演出として導入されます。この時期のBGMには、脱力感のあるアコースティックナンバーや透明感のある女性ボーカルが重宝されました。
そして現在の令和期を象徴するキャストである西野七瀬、神尾楓珠、そして等身大のママタレントとして絶大な共感を集める藤本美貴らの共演へとバトンが繋がれました。ここで鳴り響くMrs. GREEN APPLEのアンセムは、従来の「ステレオタイプな家族」という枠組みを超え、シェアハウスや友人同士、一人暮らしのセルフケアまで包括する「誰もが自分らしくいられる心地よさ」の象徴として機能しています。