ネット上の掲示板やSNSでは、国選弁護人やる気ない評判に関する怨嗟の声が散見されます。「接見に来たのは最初の1回だけ」「こちらの主張を聞かず、早く罪を認めて示談しろと迫られた」「保釈請求すら後回しにされた」といったリアルな告白が並びます。
大手新聞の社会部司法担当記者や刑事事件を数多く手掛ける法曹関係者への取材から見えてきたのは、個々の弁護士の職業倫理というよりも、制度設計そのものが孕む報酬格差とリソースの限界です。
私選弁護人の場合、着手金で30万〜50万円、不起訴や保釈、執行猶予などの成果に応じた成功報酬を含めると総額80万〜150万円規模が相場となります。一方で、法テラスから国選弁護人に支給される標準的な基本報酬は、被疑者段階で約4万〜6万円程度、裁判まで進んでも10万円前後に留まるケースが珍しくありません。この金額の中に、留置場までの往復交通費や接見時間、膨大な証拠資料の読み込み作業がすべて含まれています。
刑事弁護に携わる中堅弁護士は、手記のなかで次のように内情を吐露しています。「国選の報酬だけでは事務所の賃料や事務員の給与を維持できない。民事の企業法務や顧問案件を複数抱えながら合間を縫って留置場へ向かうため、物理的に勾留決定接見頻度を週に何回も確保することは不可能に近い」。決して被告人を見捨てているわけではなく、制度が強いる過酷なタイムマネジメントが「冷淡でやる気がない対応」として被疑者側に映ってしまう構造が存在しています。