Web上には、一般社団法人に関する古い情報や断片的な解釈が溢れています。特に税務対策や事業承継をめぐるトラブルは後を絶ちません。法務・税務の観点から、絶対に知っておくべき盲点を整理します。
誤解1:「一般社団法人を使えば相続税や所得税を合法的に免れる」
過去には、一般社団法人に自社株や不動産を寄付・移転させ、持分(株式)が存在しない性質を悪用して相続税の課税を逃れる過激なスキームが横行しました。しかし、こうした租税回避スキームは平成30年度(2018年)の税制改正によって完全に封じ込められています。
現行の税法では、親族が理事の過半数を占めるなど同族色の強い「特定一般社団法人等」に対しては、代表理事が死亡した際、その法人の純資産額を代表者個人の遺産とみなして高額な相続税が直接法人に課税される規定(相続税法第66条の2)が創設されています。安易な節税目的で設立すると、かえって二重課税や莫大な納税リスクを背負うことになります。
誤解2:「株式がないから会社を乗っ取られる心配がない」
一般社団法人の意思決定機関は「社員総会」であり、議決権は出資額に関係なく原則として1人1票です。ここに見落とされがちなガバナンスの罠が潜んでいます。
株式会社であれば、創業者が株式の過半数(または3分の2以上)を握っていれば解任されることはありません。しかし、一般社団法人でメンバーを不用意に「社員」として増やしてしまうと、社員総会で徒党を組まれた創業者本人が、代表理事の地位から電撃解任されるクーデターが発生する危険があります。持ち分がないからこそ、定款で社員の資格要件や議決権の取り扱いを厳密に設計しておかなければ、組織のコントロールを失うリスクを孕んでいます。