れんこんを冷凍する際、最も多く寄せられる疑問が「生のままでよいのか、それとも下茹でするべきか」という点です。調理科学の視点から検証すると、実は仕上がりの料理に求める食感によって正解が分かれます。
炒め物やきんぴらなど、れんこん特有のシャキシャキした歯ごたえを残したい場合は「生のまま冷凍」が適しています。生の状態で細胞壁を保ちつつ急速冷凍することで、加熱調理時に適度な水分が抜け、小気味よい食感が際立ちます。一方、煮物や筑前煮のようにホクホク感やもっちり感を出したい場合は、固めにブランチング(熱湯で1分程度茹でる)してから冷凍するのが定石です。
そして、どちらの方法でも絶対に外せない工程が「酢水でのアク抜き」です。れんこんにはポリフェノール化合物の一種であるタンニンが豊富に含まれており、空気に触れると酸化酵素の働きで瞬時に褐色へ変化します。切った直後に水2カップに対して酢小さじ1(約1%濃度)を加えた酢水に2〜3分浸すことで、酸化酵素の活性を抑えて真っ白で美しい色合いをキープできます。浸しすぎると風味が抜けてしまうため、数分で引き上げてしっかりとペーパータオルで水気を拭き取ることがプロの現場における鉄則です。