地上最後の学術パラダイスのように見えるOISTですが、現場で日々研究に打ち込む学生や研究者の実情はどうなのでしょうか。SNSでの発言や大学関係者の手記、在学生への取材から浮かび上がってくるのは、極めて刺激的でありながらも過酷なサバイバルの現実です。
ある日本人修了生は、メディアの取材に対して当時の心境を次のように述懐しています。
「キャンパスに足を踏み入れた瞬間から、公用語は100%英語。ランチの雑談からラボミーティング、事務手続きまで日本語は一切通じません。最初の半年間は、英語での激しいディスカッションについていくだけで脳が擦り切れるような感覚でした。周りはハーバードやオックスフォード、清華大学出身の猛者ばかり。日本にいながら毎日海外留学している以上のプレッシャーに晒されます」
また、美しい自然に囲まれた恩納村の立地環境そのものが、人によっては諸刃の剣となります。那覇市街から車で約1時間の距離にあり、都市部の商業施設や娯楽から隔絶されたリゾートエリアです。「研究に24時間集中できる最高のオアシス」と捉える研究者がいる一方、車がなければ日用品の買い出しすらままならず、研究が思うように進まないスランプ時には「孤立感や孤独感(アイソレーション)」を訴える学生も少なくありません。多国籍な文化が交錯するからこそ、自己主張を明確に行わなければ存在感を失ってしまうタフな精神力が求められます。