神社と大社の違いとは?かつて1社のみだった歴史的真相と社格の基準

神社と大社の違いとは?かつて1社のみだった歴史的真相と社格の基準

神社と大社の違いとは?かつて1社のみだった歴史的真相と社格の基準の真相について、専門知識を詳しくお届けします。

神社巡りや歴史探訪を楽しむ人々の間で意外と知られていないのが、「大社(たいしゃ/おおやしろ)」という言葉が元来持っていた極めて排他的な意味合いです。現在でこそ全国に複数の大社が存在しますが、平安時代から江戸時代、さらには明治初期に至るまで、単に「大社」と記した場合、それは出雲大社(島根県出雲市)のみを指す言葉でした。

平安時代中期の律令細則『延喜式神名帳』(927年編纂)では、祈年祭で朝廷から幣帛を受ける神社が「大社(492座)」と「小社(2,369座)」に格付けされていました。しかしこれは行政上の分類区分に過ぎず、神社の固有名称(社号)として「大社」を掲げていたわけではありません。出雲大社は古来「杵築大社(きづきたいしゃ/きづきのおおやしろ)」と称され、日本神話において国譲りを行った大国主大神を祀る破格の神威を持つ社として、唯一無二の敬称として「大社」と呼ばれ続けてきたのです。

江戸時代の文献や浮世絵、あるいは当時の知識人の日記を見ても、「大社参り」といえば紛れもなく出雲へ赴くことを意味していました。明治維新直後の1871年(明治4年)、政府による太政官布告によって全国の神社整理が行われた際、杵築大社は正式に「出雲大社」へと改称されます。つまり、歴史の大部分において「大社」とは出雲大社に対する崇敬の念が結晶化した専売特許のような存在でした。

井上 凛
著者

井上 凛

心身ともに健康で持続可能なライフスタイルをテーマに、最新のウェルネストレンドを発信中。