ロマンポルノを語る上で欠かせないのが、社会的な偏見やバッシングに晒されながらも毅然とカメラの前に立ち続けた女優たちの存在である。中でも「ロマンポルノの女王」「元祖・団地妻」と呼ばれた白川和子の現在と経歴は、昭和から令和へと続く女優魂を象徴している。
1947年生まれの白川は、ピンク映画で注目を集めた後、日活ロマンポルノ第1作『団地妻 昼下りの情事』に主演。その親しみやすくもどこかアンニュイな色気で爆発的な支持を集めた。しかし、私生活では激しい世間の好奇の目に晒され、親族からの絶縁通知や脅迫まがいの嫌がらせに直面したという。自著や当時の特番インタビューにおいて、白川は「当時は外を歩くだけで後ろ指を差されたが、現場では名匠たちと魂を削って1カットを撮っていた。『私は卑猥な見せ物ではなく、映画の主役を演じている』という自負だけが支えだった」と述懐している。
その後、一般映画やテレビドラマへと活動の場を広げた白川は、今村昌平監督の『復讐するは我にあり』や数々の名作ドラマで重厚なバイプレイヤーとしての地位を確立。2020年代以降も舞台やインディペンデント映画で圧倒的な存在感を放ち、日活ポルノ女優現在の最高峰としてリスペクトを集めている。
宮下順子、風祭ゆき、美保純らもまた、ロマンポルノ出身という出自を自らの強靭な演技のバックボーンへと昇華させ、映画賞を総なめにするなど日本映像界を牽引し続けた。彼女たちのキャリアは、偏見を実力で跳ね返した戦いの歴史そのものである。