秋晴れの庭で実ったみずみずしいオリーブの実をかじると、口内全体に強烈な収斂味(しゅうれんみ=舌がきゅっと引き締まるような激しい渋み)とエグみが広がります。この原因は、オリーブの果肉に高濃度で含まれる「オレウロペイン(Oleuropein)」というポリフェノール配糖体にあります。
オレウロペインは植物が鳥や害虫、病原菌から未熟な果実と種子を守るために作り出す天然の防御物質です。毒素ではないため誤って少量口にしても直ちに健康被害が出るわけではありませんが、人間の味覚が耐えられるレベルを遥かに超えた苦渋味を持っています。野生動物でさえ、渋抜きされていない生のオリーブを食べることは基本的にありません。
一方で、このオレウロペインこそがオリーブの優れた健康効果の源泉でもあります。強い抗酸化作用や抗菌・抗炎症作用を持ち、体内の活性酸素を除去する働きが注目されています。渋抜き工程とは、この「強烈なオレウロペインをアルカリ処理や塩分置換によって適度に分解・溶出させ、果肉の旨味とオレイン酸などの良質な脂質を引き出す作業」に他なりません。
オリーブの実には、オレイン酸(一価不飽和脂肪酸)が豊富に含まれており、悪玉コレステロールの低減を助けるほか、抗酸化ビタミンであるビタミンEやスクワレン、食物繊維が凝縮されています。適切な下処理さえ施せば、家庭で極上のヘルシーフードへと生まれ変わるのです。