インターネット上の掲示板や知恵袋などで定期的に巻き起こるのが「エンゼルパイとチョコパイはどっちが先に発売されたのか」という論争です。知名度や店頭での露出量から「チョコパイが先祖で、エンゼルパイが派生品ではないか」と勘違いしている層も一定数見受けられますが、公式の記録が示す歴史的事実は明白です。
歴史の先陣を切ったのは、森永製菓の「エンゼルパイ」です。本格発売が開始されたのは1961年(昭和36年)。高度経済成長期の只中、まだ日本国内で本格的な洋菓子が贅沢品だった時代に、手軽に食べられる高級菓子として世に送り出されました。森永のトレードマークである「エンゼル(天使)」を冠し、60年以上の歴史を刻む昭和の名作菓子です。
一方、ロッテの「チョコパイ」が市場に投入されたのは1983年(昭和58年)。つまり、エンゼルパイの発売から実に22年後に誕生しています。後発となったロッテは、先行するエンゼルパイとの差別化を図るため、あえてマシュマロを避け、当時の技術では難易度が高かった「半生ケーキの工業化」へと舵を切りました。この戦略が見事に当たり、1980年代から平成にかけて爆発的なヒットを記録。流通市場を席巻した結果、後発でありながら「チョコ掛けパイの代名詞」としての地位を築き上げることになりました。