ドラマの原作は、漫画家・森永あいによる少女漫画『山田太郎ものがたり』(月刊あすか連載)。白泉社や角川書店でカルト的な人気を博したギャグ漫画の名作ですが、実写ドラマ化にあたってはいくつかの重要なアレンジが施されました。
まず大きな相違点は、キャラクターの性格描写とコメディのトーンです。原作の太郎は「金と食べ物」に対してより冷徹かつ本能的な執着を見せるドライな一面があり、シュールなブラックユーモアが満載でした。一方、ドラマ版では二宮和也の持ち味を活かし、家族への深い愛情と健気さが前面に押し出されたハートウォーミングな作風へと昇華されています。
また、多部未華子が演じた池上隆子の設定もドラマオリジナル要素が色濃く反映されています。原作での隆子はより強烈なリアリストですが、ドラマ版では「貧乏な妄想癖のある愛されキャラ」として再構築され、視聴者が感情移入しやすいヒロイン像となりました。
さらに、原作漫画では太郎が最終的に大学へ進学し、世界中を股にかけたスケールの大きな展開へと進むのに対し、ドラマ版は全10話という枠の中で「家族の絆」と「高校生活の青春」に焦点を絞ったコンパクトで美しいエンディングにまとめられています。原作のキレ味鋭いギャグと、ドラマ版の心温まるヒューマンドラマ、どちらも異なる魅力を持った傑作です。