手術と聞くと「メスで皮膚を大きく切るのではないか」と躊躇する方が多く見受けられます。粉瘤の外科的治療には、昔から行われている「切開法(紡錘形切除術)」と、近年多くの施設で採用されている「くり抜き法(へそ抜き法・トレパン法)」という2つの代表的な術式が存在します。
多くの患者が疑問に抱く「粉瘤のくり抜き法は保険適用されるのか?」という点ですが、結論から言えば完全に保険適用となります。くり抜き法も医科診療報酬点数表上は「皮膚、皮下腫瘍摘出術」として算定されるため、特殊な自由診療費用を上乗せ請求される心配はありません。
それぞれの術式には医学的なメリットとデメリットがあります。「切開法」は腫瘍の直上を木の葉状(紡錘形)に切開し、中の袋(嚢腫壁)を周囲の組織から丁寧に剥離して破かずに丸ごと取り出す手法です。再発率が極めて低い(1%未満)という最大の強みがある一方、腫瘍の直径と同等かそれ以上の線状の傷跡が残ります。
対する「くり抜き法」は、特殊な円形メス(パンチ)を用いて腫瘍の中央に直径3〜5ミリ程度の極小の穴を開け、そこから内部に溜まった角質や皮脂を押し出した後、しぼんだ袋本体を穴から引き抜く技術です。粉瘤の傷跡を残さない治療を望む患者にとっては、傷口が極めて小さく済み、手術時間も数分から十数分程度で完了するため非常にメリットがあります。ただし、袋が薄い場合や周囲と癒着している場合は袋の一部が体内に残りやすく、切開法に比べてわずかに再発率が上がるという側面も持ち合わせています。
どちらの術式が適しているかは、粉瘤の部位、大きさ、過去に炎症を起こしたことがあるかどうかによって担当医が診断します。顔面などの露出部ではくり抜き法が第一選択となる例が増えています。