ドラマ版の最終回(第10話)において、主人公・大島凪(黒木華)が下した選択は、多くの視聴者が固唾をのんで見守った「二者択一」の予想を鮮やかに裏切るものでした。結論から明かせば、凪は慎二とゴンのどちらも選ばず、一人で自立して生きていく道を選び取ります。
物語の終盤、アパートの取り壊しが決まり、「お暇(おいとま)」のモラトリアム期間に終わりが近づく中、二人の男性は決定的なアプローチを仕掛けます。これまで誰にでも優しく、特定の執着を持たなかったイベントオーガナイザーの安良城ゴン(中村倫也)は、生まれて初めて「独占欲」と「本気の恋」を知り、凪に部屋の合鍵を渡して告白しました。これに対し、凪は胸を痛めながらも次のように告げて断ります。「ゴンのそばにいると、美味しくて心地よくて、自分が溶けてなくなっちゃいそうになる。私は自分の足で立って、自分で泳げるようになりたい」。これは、他者に依存して自分を見失う快楽からの、明確な決別宣言でした。
一方、元カレの我聞慎二(高橋一生)とは、凪の「ウィッシュリスト(やりたいことリスト)」を共に叶える水族館デートへと向かいます。そこで慎二は、空気を読むことに必死だったかつての凪が、周囲に流されず自分の意見を言えるようになった成長を目の当たりにしました。慎二は自ら身を引く覚悟を決め、「お前は絶対変われる。だから……もう俺を見るな」と告げます。凪もまた、歪んだ形骸化した過去の恋愛を乗り越え、「慎二を好きになれてよかった。ありがとう」と心からの感謝を伝えました。
ドラマの幕引きにおいて描かれたのは、恋人の座を射止めることによる幸福ではありませんでした。コインランドリーの共同経営計画が頓挫し、アパートが取り壊されて日常が散り散りになっても、自分の頭で考え、自分の意志で新たな一歩を踏み出す凪の晴れやかな笑顔こそが、本作が提示した真のハッピーエンドでした。