「咥えて」の読み方は「くわえて」であり、動詞「咥える(くわえる)」の連用形に接続助詞「て」が付いた形です。その基本的な意味は、「歯や唇の間に物を挟んで支える・保持する」という物理的な身体動作を表します。
漢字の成り立ちを紐解くと、「咥」は口を表す偏(へん)である「口」と、至る・行き着くを意味する旁(つくり)の「至」が組み合わさった会意兼形声文字です。「至」には「極限まで達する」「奥深くまで届く」というニュアンスが含まれており、口の奥や唇の間にしっかりと物を挟み込む情景を象形化しています。古代中国の字書では「笑う」「大笑いする」という意味で用いられた歴史もありますが、日本においては古くから「物を口に挟み持つ」という固有の和語「くわふ(くわえる)」の当て字として定着しました。
ここで知っておくべき極めて重要な事実として、漢字の「咥」は文部科学省が定める常用漢字表(2,136字)に含まれていない「表外漢字」であるという点です。そのため、新聞・テレビなどのマスメディアや公文書、小中学校の教科書では原則として漢字表記が避けられ、「タバコをくわえる」「指をくわえて待つ」のように平仮名表記が標準として採用されています。