中村勘三郎の妻・波野好江の現在|名門中村屋を支え続けた壮絶半生

中村勘三郎の妻・波野好江の現在|名門中村屋を支え続けた壮絶半生

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中村屋にとって最大の試練となったのが、中村勘三郎の死因と経緯をめぐる壮絶な闘病劇でした。2012年6月、初期の食道がんが公表され、勘三郎は同年7月に12時間に及ぶ大手術を受けました。手術自体は成功したものの、術後に重篤な肺疾患であるARDS(急性呼吸窮迫症候群)を発症。懸命の集中治療が続けられましたが、同年12月5日、57歳の若さで帰らぬ人となったのです。

当時、公の場で見せた好江の姿は、深い哀傷を湛えながらも凛とした気品に満ちていました。告別式や追悼特番において、彼女は夫を「最高に格好良く、世界一愛しい人でした」と涙ながらに讃え、最期まで芸と家族を愛し抜いた夫への感謝を語りました。深い悲嘆(グリーフ)に押し潰されても不思議ではない極限状況にあって、彼女を突き動かしたのは「中村屋の灯を絶対に消さない」という揺るぎない覚悟でした。

当時まだ20代だった勘九郎と七之助に対し、好江は「パパはあなたたちの中に生きている」と鼓舞し続けました。悲しみに暮れる暇もなく翌年以降の追悼興行や襲名興行の準備に奔走し、気丈に振る舞い続けた母の背中こそが、若き兄弟を成熟した座頭へと覚醒させる決定打となったのです。

森 瞳
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森 瞳

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