病院のロビーで偶然『共病文庫』を拾った「僕」は、クラスの人気者である山内桜良が重い膵臓の病気で余命1年であることを知ってしまいます。桜良は家族以外に病気を隠しており、真実を知った「僕」を強引に巻き込んで「死ぬまでにやりたいことリスト」を実行していきます。スイーツパラダイス通い、博多への一泊旅行、真実か挑戦かのゲーム――。「僕」は奔放な桜良に振り回されながらも、次第に閉ざしていた心を開いていきます。
しかし、物語は誰もが予想した「病気による悲劇的な別れ」というステレオタイプを無慈悲に裏切ります。退院後、再びカフェで会う約束をした日、桜良は待ち合わせ場所に現れませんでした。彼女の命を奪ったのは病魔ではなく、突発的な通り魔による刺殺事件でした。
なぜ原作者の住野よる氏はこの結末を選んだのか。作中で桜良自身が語った「1日の価値は全部一緒」「明日何が起こるかなんて誰にも分からない」という言葉がその答えです。病気だからといって明日死ぬとは限らない、健康だからといって明日生きている保証もない。命の終わりは誰に対しても等しく唐突であり、だからこそ「今この瞬間を誰とどう生きるか」の選択が尊いという実存的なメッセージが、この凄惨な結末によって鮮烈に刻み込まれています。